「街と飛行船」の歌詞改変の問題 PART1 田邉俊一郎 2005/8/27/sat |
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I Iさんのメールに関する疑問点
@ "やくざもごくつぶしもぶしょうひげの先にごはんつぶをぶらさげて歌おう まま子も、みなし児も涙で汚れた顔にしあわせのお面を付けて笑おう というオリジナルの歌詞で歌われるスタジオ録音バージョンが確かに存在する…" ⇒「やくざもごくつぶしも…」のフレーズは、 「別役実第三戯曲集 そよそよ族の反乱」(1971/三一書房)を参照する限り、 原詩にも存在しない。 ⇒同本は、いわゆる「定本」とは異なるのか。 つまり、同本の出版後に改変が行われた可能性はあるか否か。 −Iさんの言う「やくざもごくつぶしも…」を本文とする典拠があるのか否か。 A "テクニクスの4チャンネルステレオのデモンストレーション用非売品のLP" ⇒1さんの言う"スタジオ録音バージョン" (この録音の日時・別役原詩との関係は? ⇒これ以外のスタジオ盤が何故存在しないのか) ⇒この中で歌われている歌詞が鍵を握っていると思われる。 ⇒"歌詞カードには「街と飛行船」全体にシールを貼って隠していた"ということなので、 聞き取って文字に起こす必要がある。 B "また歌詞は後半の部分、 乞食も泥棒…造花をいっぱいくっつけてはねよう 踊って歌って笑ってはねれば と全部「はねる」になっており ⇒この本文も、現時点では「文献」として確認されていない。 ⇒@を「定本」と考える限り、原詩とは相違している。全箇所「はねる」になっているのか。 C"もう30年以上も前のNHK-FM 「六文銭・フォーシーズンズ」では そのままの歌詞で流れていたのにCDになったライブ音源ではノイズ処理されている…" ⇒a)ここの「そのままの歌詞」とは何をさしているのか。 (別段原詩のことなのか、問題のデモLPのことなのか) b)「CDになったライブ音源」とは「六文銭メモリアル」のことか。 (NHK同番組がCD化ではあるまい) |
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U その他の疑問点 D 恒平さんHPr歌のはなし」掲載版及び現行のステージ版では 乞食も泥棒も…造花を一杯くっ付け万走ろ| となっている(⇒別役原詩は「歌おう」⇒第三の本文の存在) ⇒いつ頃からこのように歌い始めたのか、また典拠はあるのか ⇒「踊って歌って笑って走れば」とあることから見ると、「歌おう」 が本来的、整合性を有すると思われるが…。 ⇒この点に関しては、恒平さん・おけいさんに私信で伺っている。 * 時系列から整理すると、現時点では次の通り。 a 「やさしいにっぽん人」(東プロダクション/脚本 東陽一・前田勝弘) …1971/3/5:歌おう b 別役実第三戯曲集「そよそよ族の反乱」(三一書房)…1971/7/31 初版:歌おう c 「六文銭メモリアル」…1972:歌おう d 「テクニクス4chステレオ・デモ用非売品LP」…?:はねよう e 恒平さんHP・ステージver.…?:走ろう * 「やさしいにっぽん人」を1970とする情報あり。公開時期が1971という ことは、1970に制作自体開始していた可能性もある。 * 別役戯曲の初演はいつか。その時の本文は如何様であったか。 (別役氏の習性として、戯曲変更が多いか否か)。 ⇒演劇という性格上、「初版本」での考察は危険な要素が高い。 場合によっては、a−eの前後関係が非常に微妙なものになる。 ⇒「初版本」を基盤に考察すること自体、信憑性が揺らぐか。 * 問題の「テクニクス盤」の収録時期・発売時期はいつか。ひとつの 大きな問題として、同LPをどの時期に/どのような性格のものとして 位置づけられるかということ。 * 同LPの制作(発売)時期によっては、a−eの時系列そのものを 組み立て直す必要が生じる。 D 現在歌われているHP・ステージver.が、言わば「第三の本文」となるのだが、 何故歌詞の異同がこの一語に集中しているのか。 ⇒最も一般的に考えられるのは「何らかの必要に迫られた改変一演劇進行上の 理由."放送禁止"に伴う圧力等の外的理由」であるが、それならばむしろ "伏字処理(ノイズ処理)された箇所"こそ改変の対象となっても、よさそう だが。 . ⇒原詩の「踊って歌って笑って走れば」(尤もこれを原詩と呼び得るかは要検討) との整合性を壊してまで改変されている、という印象。 |
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V 現時点でのまとめ @ 別役初版との対比⇒テクニクス盤の歌詞の特異性 A「HP・ステージVer.」の特異性とその典拠⇒@との関連・必然性 B 諏平さんのおっしやる「音楽的なアレンジなどの問題」の有無 (戯曲レベルでの一別役氏本人か否か。その必然も含めて−の改変の有無) C「放送禁止歌」としての側面(同和問題等との関係) |
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