岬の部屋

歌のはなし 曲名 公表作品 作詞者 作曲者
056 岬の部屋 2002年ライブ
及川恒平 及川恒平
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  <前奏> ‖:  D  ≒   Bm  ≒   :‖  A7sus4   A7

D     ≒      Bm      ≒ 
岬の 部屋が   燃えている
D      ≒         Bm      ≒ 
熱い  鉄の球に    打たれて
D         Dmaj7     Bm   ≒    A7sus4     A7
壁が剥がれて 落ちる  波の上         (フワァフワァ)

D       ≒        Bm      ≒ 
出口も  入り口も   燃えている 
D       ≒         Bm       ≒ 
戦いとは 言っても   ちょっと熱い
D         Dmaj7        Bm   ≒   A7sus4   A7
悪くないとは 言っても   だいぶ遅い        (So,so)


D    ≒          Bm       ≒ 
あ な  た に   会わな くちゃ
D    ≒          Bm       ≒ 
あ な  た に   会わな くちゃ

D    ≒          Bm       ≒ 
あ な  た に   会わな くちゃ
D    ≒          Bm       ≒ 
あ な  た に   会わな くちゃ


  <間奏> ‖:  D  ≒   Bm   ≒  :‖  A7sus4   A7


D     ≒      Bm      ≒ 
岬の 部屋が   燃えている
D     ≒           Bm    ≒ 
炎の 匂いなんて   好きじゃない
D      Dmaj7     Bm    ≒    A7sus4   A7
犬も猫も 沈む     海の中         (Ho,ho)

D       ≒          Bm     ≒ 
でっかい 紙飛行機  燃えて飛ぶ
D        ≒       Bm     ≒ 
昨日から あしたまで 焼け焦げた
D        Dmaj7       Bm   ≒   A7sus4  A7
夕焼けの 匂いと違う  焚き火と違う    "火事!"


D    ≒          Bm       ≒ 
あ な  た に   会わな くちゃ
D    ≒          Bm       ≒ 
あ な  た に   会わな くちゃ

D    ≒          Bm       ≒ 
あ な  た に   会わな くちゃ
D    ≒          Bm       ≒ 
あ な  た に   会わな くちゃ
                              end

 最近、録音録音と念仏を唱えていたものが、
この歌を含めて、どうやらスタートラインに立った。
CDアルバムにするつもりである。
コンセプトとしては、ラブソング。
なんで今頃というなかれ。
そんなことは自覚してオルワイ。

 この年になったからこそ、歌いたくなったのだ。
あっ、自覚していない・・・
 最初に「岬の部屋が燃えている」と書いたのはたぶん20年も前のことだ。
なにも、だからいい歌になると言っているのではない。
こんなケースもありるということなのだけれど、ほかの人のことは知らない。
20年という時間についての感慨はある。

よく、しがみついていたものだ、今まで・・・。

 大体の流れはできていたのに、実際に歌いだしてつい二三年。
それも、たまに歌う程度である。
たまに歌う程度の歌手がいう、たまに歌う程度とは、
相当にタマだということに気がついていただけましたか。
20年もつかずはなれずにいたことに、我ながら感心してしまう。

 もちろん、それなりの苦節ん十年ではあったのだ。
岬の部屋が燃え出してから、沈むのが犬、猫になり、
でっかい飛行機が紙製になるまで、十年ほどかかった。
字句的な説明も、後でさせていただくとして、
この歌は、僕のものとしては、めずらしいラブソングなのだから(かなあ?)、
何かを意識して書いたはずだ。
おぼろげに思い出せるのは、ノリのいいものが欲しいという気分だったことだ。
当時、なるべく「うたいにくい歌」を標榜していた時期でもあり、その反動だろう。

 なんでしょうか?
この歌ご存知ないんですね。
いや、歌いやすいんです。
 恋愛歌の区分の方法のひとつに、「現在・過去・未来」がある。
と、堂々と通説のように発言するのは、気持ちがいい。

 つまりつまり、現在編はもちろん恋愛まっただなか。
過去編は、言うまでもなく、ロストラブ。
残る未来編は、片思いだろう。
バリエーションとしては、まだ見ぬコイビトにささげるもの、
もっともサビシイのは、単に恋に恋しているだけのもの。

 この中で、圧倒的に受けるものは、当然ながらロストラブ。
他人が上手くいっているラブソングなんか、と考えるのがひとと言うものだ。
だから、未来派は、それも許せるのかというと、
人間、贅沢なもので、思い入れがしにくいという難点を見つけたりする。

 なんだ、けっきょくだれもが、ロストラブ派ちゅうことやん、
体験的にも。
 モひとつ言いたい。
これは通説に対する反論。

 恋の中で、ヒトはだれもが詩人とか言うけれど、ほんとうはちがう。
恋の季節は、相思相愛であればなおのこと、
携帯電話のメールやら、
パソコンメールのお誕生日カード送信やら、
通販の付け届けやら、などで、打ち込む時間がやたらにかかるはずだ。
 え、時間かからないんですか、そんなに。

 じゃあ、まあいいですが、
もちろん、実際にも会う時間はたっぷりとらなければならないだろうし、
家に帰り着けば、しあわせな疲労感におちいって、速攻で寝つくような日々、
いつどうやって、詩が書けるというのですか。

 そうなのだ。
だからこそ、恋の季節が終わってからが勝負というわけだ、詩人としては。

 プルッとも動かない夜の携帯電話のバイブレーション。
何度確かめたって、受信欄には迷惑メールだけ。
中には、紛らわしい名前のものがあったりもする。
もう、間違ったつもりで、これにメールしちゃおうかなあ。

や・め・れ。

おもにたった一人との交流のために、携帯電話代を支払っていた事実に、
そのあたりでやっとで気がつくのである。
携帯持つのやめようかなあ、天気予報なんかテレビみりゃいいんだし。

 なによりも、たーっぷりある、暇。
どうやってつぶせばいいのやら。
しょうがない、詩でも書くか、
と、
ね、
ほら、
やっとここに至ってそうなるのだ。
 このところ、たてつづけに『日々のこと』で
めいっぱい罵詈雑言を吐いて気分がのっているせいか、
どうもガクジュツ的な方向に行かない・・・。

 タダイマ、マイクノ、テストチュウ。

 えー、テスト、テスト。
あなたに会いたいのではなく、会わなくちゃ、と言っているのが、この歌詞の眼目か。
と、説明するのも、何か変だ。
 一番の、出口と入り口と、わざわざ重ねているところにも注目したい。
と、説明するのも、何か変だ。
 二番の、 "火事!"と、叫ぶところが、この歌のクライマックスとなる。
と、説明するのも、何か変だ。

 だいたい言いたいことは言った。

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