歌のはなし 曲名 公表作品 作詞者 作曲者
046 お陽様はどちらからのぼるのですか 『六文銭メモリアル』
及川恒平 及川恒平 
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8ビート
KEY=たぶんA


   
G   ÷   ÷   ÷

G      ÷ Em  ÷  C     ÷    D7  ÷
知らない国の街角で     片言の僕が 道を訊く
G      ÷    Em ÷  C  ÷      D7  ÷
片言の挨拶が 人見知り   喉の辺りで   独り言

G    ÷  ÷   ÷   G        ÷  
"お陽様は  どちらから   のぼるのですか"
Em        ÷    Em       ÷     
"街を抜ければ もうすぐ 街を抜ければ もうすぐ…"

G   ÷ 

G     ÷    Em  ÷  C     ÷    D7  ÷
知らない国の街はずれ     空っぽの僕が 寝転ぶ
G      ÷    Em ÷  C     ÷    D7  ÷
空っぽの心が 胸の中で    夢を見ながら 独り言

G    ÷  ÷   ÷   G        ÷  
"お陽様は  どちらから   のぼるのですか"
Em        ÷    Em       ÷     
"街を抜ければ もうすぐ 街を抜ければ もうすぐ…"

G   ÷ 

G     ÷   Em ÷  C   ÷  D7  ÷
知らない国の独り旅     話し相手は僕だけ
G     ÷   Em ÷  C   ÷   D7   ÷
青い流れで 泥靴を     洗うつもりが 街ばかり


G    ÷  ÷   ÷   G        ÷  
"お陽様は  どちらから   のぼるのですか"
Em        ÷    Em       ÷     
"街を抜ければ もうすぐ 街を抜ければ もうすぐ…"
G    ÷  ÷   ÷   G        ÷  
"お陽様は  どちらから   のぼるのですか"
Em        ÷    Em       ÷        
"街を抜ければ もうすぐ 街を抜ければ もうすぐ…"


名古屋、アウンの狛犬
03年、
名古屋/あうん

 この歌は多分、後に僕が自分のためばかりではなく歌詞を提供する立場になった
“出発の歌”より早く書いたものだ。
 多分というよりは、その時期について自信を持っていえるのだけれど、
自信を持っていったつもりのものほど、間違えている今日この頃ですっ。
 だから、た・ぶ・ん。

 その根拠は、お気軽さが前面に出ていること。
少しでも社会的評価なぞというものを受けてしまうと、人間どうしても気取ってしまう。
 その点、この歌は、ソンナコター、一向に気にしていない。
 フォークのがわから見れば、
反戦のはの字もない、ノンポリ(たぶんノンポリシーの略だと思う、た・ぶ・ん)ソング。
 ロックから見れば、なんともスガルイのりの、
ノンリボ(ノンリボリューション、たぶん、実はイマツクッタ)ソング。
 歌謡曲から見れば、その頃すでに流行の端境期にあった、
それも三流のグループサウンズ。


 先日どこかにかいたけれど、この歌をよく、リーダーが受け入れたなあと、不思議。
 べつに、へりくだっているつもりはない。
あっ、そりゃそうだって、誰かおもいましたね。

 よくある設定で、かなり稚拙な言い回しで、
コード進行などにも工夫した痕跡すら見当たらない。

 この歌は、これも先日どこかに書いたけれど、
『ベイシティローラーズ』という、どちらかというとカワイコちゃん系のロックンロールバンドを、
当時まだあった後楽園球場に聞きに行った、そののりで書いたものだ。

 たしか、翌日まだまだ、ライブで騒ぎまくってきた余韻の中で、
今日は、フォークはやめた、ロックする、と一人で盛り上がっていたはずた。
 なにか、ちょっとあると、なんでも口走ってしまった僕だから、
リーダーはじめメンバーは、マタカと、冷静な視線を僕にむけていたのだろう。



 しかし、このときの僕はけっこう本気で、
いっちょう、ロックンロールってうやつをグループでやりたいと、思ってしまった。
なんなら、六文銭のサウンドを、ロックにしたかったのだ。
 少し前、高田渡が、どっかの雑誌で、六文銭を「ロックもうセン」つまらないグループだと、
自分のことは棚にあげて書いていたのも、気になっていたし。

そう「天啓」とはこことだと、本物の「ヒラメキ」とはこういうもんだと、
知らないヤツには教えてやると、思ったのだった。

 書いちゃった(関西の方がた、ゴメン)。

 書いちゃったとなったら、湯気の上がっているうちに持っていった。
本人としては、この歌を六文銭でやるのだと、かたく決意していたけれど、
メンバーに聞かせた後は、きっとシーンとなってしまうだろうから、
そんな状況になったらなったで、一席ぶつためのせりふまで用意していた。

 『たんに政治用語をいれればいいものではない、うんぬん』
『へヴィにのればロックというものではない、かんかん』
『グループサウンズにあったポップス性はフォークにたって大事だ、キャンキャン』

 ま、ともかくこの歌をやりたい一心であった。


 現実は、甘いものなのである。
 小室等が、ひとこと、『いいね、やろうよ』

 ってなわけで、あっけなく、レパートリーになってしまったのだ。
 当時、僕らのレコード・ディレクターだったMさんも、喜んでいたし、みょぅに。
今でも、実はあのすんなりさ加減が、なぞだ。

 しかし、みんなの気が変わらないうちに、ともかくアレンジをして、歌ってしまうことが、
僕には一番大切なことだったから、いちいちこんな場面で、
立ち止まったりはしないのだった。
 
 しかし、しかし、やっぱり聞いてみたい。
小室さんは、そしてメンバーのみんなも、
どうしてあんなに簡単に、この歌を受け入れたわけ?
 受け入れなかったら、自分の身があぶないとか感じたのかな、僕から。
それとも、なにかなげやりな気分だったの、あの日・・・
 
 
 ちょっとまて。
この歌、タビダチより、後に書いたんだっけ?
そんな気もしてきた。

 だとすると、これでソングライターとしてのスタンディングポジションが揺らいでしまった、
ということなんだろうか。

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