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4/4 異常なコード進行 と折り紙つき!? |
C ÷ ÷ ÷ C ÷ A ÷ 茶色い薬 壜が ゆっくり倒れてゆく F♯m Bm E7 A G7 すがや君は 僕を連れて 屋根に登った C ÷ A ÷ 壜はコタツ板に ぶつかり音をたてた F♯m Bm A ÷ E7 A G7 すがや君は 新しい 星座盤を 鞄から出した C ÷ A ÷ 壜の中で ゴオーッと 薬が動い ている F♯m Bm E7 A ÷ スガヤ君はマッチを擦り 盤を覗いた A D A ÷ E7 ÷ A ÷ 赤い 星座盤 クルクル 回る A D A ÷ E7 ÷ A ÷ G7 ÷ 赤い セルロイド クルクル 回る C ÷ A ÷ 茶色い薬壜が 畳に向かってゆく F♯m Bm E7 A G7 スガヤ君は ポケット瓶 ラッパ飲みした C ÷ A ÷ 落ちる壜の 後ろ 埃が 渦巻いてる F♯m Bm B7 E A ÷ スガヤ君は 倉田百三を 読めと 昨日の市営球場でと E7 A ÷ おんなじ事を言った D ÷ B ÷ 壜の底がちょうど まあるく浮かんでいる G♯m C♯m スガヤ君が もしいたなら F♯ E B ÷ ÷ ÷ 月の 裏側 だと 言っただろう (以下繰り返しF.O) B E B ÷ F♯7 ÷ B ÷ 月 の 裏側に 一人で 行った B E B ÷ F♯7 ÷ B ÷ 茶色い 薬壜 ゆっくり 落ちる |
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CDアルバムの歌詞カードでも、この歌の表記には悩んだ。 というのも、この歌は過去と現在がイレコになっているという、 歌としてはあまりない構造だからだ。 耳から入って分かりやすいと言うことが、歌詞の使命だとすれば、 これは、イジョウジタイである。 ただ、当時どういうわけか、分かりにくい歌があったっていいじゃないかと、 けっこうリキんて゛いたのだった。 この歌だけにかかわらず、CD『ルノアールの雲』全体に、そんな気分が濃い。 このページの歌詞カードではでは文字に色をつけてある。 まず黒い字の部分はありし日のスガヤくんという人物の思い出である。 そして、茶色の文字の部分が現在である。 |
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黒い文字の部分に登場するスガヤくんなる人物は、僕の中学、高校時代の友人である。 天才の名をほしいままにしたのだが、24才で夭折した。 担任の先生より、この人の発言、行動がクラス全体に強い影響を及ぼした。 僕も、彼の影響を受けた一人で、読書の対象になる本は、指定をうけたりした。 そして普通の中学生だった僕には、 『愛と認識の出発』『出家とその弟子』『二十才のエチュード』『空想より科学へ』など、 ちと荷が重すぎた。 そんなスガヤくんと僕の家の屋根にのぼって、何度か星を見ながら、 彼の『講義』を受けたのだった。 講義の内容は文学から政治思想にまで及んだ。 |
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薬壜のことが書かれている茶の文字の部分は、書かれているとおりである。 ただ、こんなどうでもいい出来事をなぜ書く必要があったかというと、 そのとき、時間自体が非常にゆっくりとなり、同時にスガヤくんのことを思い出したのである。 あたかも、彼が僕のそばに、その瞬間いるような錯覚にとらわれていた。 どうも、錯覚などではなく、ほんとうにいたのだと実は思っている。 正確にいうと、僕の目を通してスガヤくんは壜の落下していく様子を見、 壜の底を月の裏側だと、僕の感覚を通して、彼が表現したのだ。 スガヤくんは確実に、僕の中ではまだ生きていたのだった。 |
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音楽的な構造にふれよう。 なとど言うには、僕の音楽理論はあまりにひっちゃかめっちゃかで、 リロンなどという表現はするなと言われることだけはたしかだ。 たよりにしているのは、たんに自分の感覚だけだしね。 この転調の繰り返しは、それこそ音楽理論としては、どうしようもないのだろうが、 僕の感覚としては、これにより歌の気分は高揚していく。 そうして、転調のたびに、一瞬立ち止まるというか、脚がもつれる感覚におちいる。 歌い手の僕としては、躓きながらも歌い続けるといったふうになる。 それが、この歌にとっては必要だと、ヒラキナオッテオコウ。 2003/10/01記 |
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六時間目の授業が終わって、ともかくほっとして、 教室から廊下へのドアをなんとなく見やった。 ガラスのむこうにセーラー服のきれいな女の子がいた。 僕と視線があった。 ほほえんでいた。 僕の高校は女生徒はセーラー服ではない制服であった。 顔は見知っていたけれど、とっさには思い出せずに、 半分、そのあでやかなまなざしに射すくめられるように、僕はその子に見とれていたようだ。 スガヤ君に何度か写真を見せられていたAさんだった。 彼女は僕に用があるらしかった。 同級生の好奇の視線にさらされながらも、なんだか誇らしげに教室を足早に出た。 Aさんが、ぺこりと頭をさげた。 時間ありませんか? あります。 グランドの端っこの草地に腰をおろして、僕たちは初めて口をきいた。 Aさん、すなわちスガヤくんのカノジョ。 はじめまして。 いえ、スガヤくんから、あなたのことは聞いていますよ。 どんなふうに、彼は私のこと言っています? ぼくは口ごもる。 どんなふうと、いわれても・・・ スガヤくんの話は、Aさんのことに関しては、 何よりにもまして、いっそう深刻だったと言えるだろう。 僕には、想像もできない緊迫感に満ちた話だったのだと、気がついたときは遅すぎる、 数年後のことであった。 |
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ぼくとAさんは、小一時間もそこでしゃべっていた。 ときどき、スガヤ君とは無関係の話題になった。 僕は多分、ときめいていた。 こんど、喫茶店であってくれますか。 僕がですか。 ええ・・・ スガヤくんじゃ、こわすぎるもの・・・ あっ、僕でいいのだったら。 スガヤ君はAさんに、僕のことをどんなふうに伝えているのだろう。 気にもなったけれど、ぼくはともかく、美しい女の子を前にしてまいあがっていたのだった。 スガヤ君の深刻さにくらべたら、彼女の告白からは、余裕のよなものを、 幼い僕でさえも感じ取ることができた。 きっと彼女には、そよ風のような青春の一こまにすぎなかったのだろう。 たぶん、僕をたずねてきたことも含めて。 Aさんとは、その日以来、僕は会っていない。 スガヤ君は24才で、旅立った。 2004/4/13記 |
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