歌のはなし 曲名 公表作品 作詞者 作曲者
032 うみへ 『しずかなまつり』
及川恒平 及川恒平
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4/4
Key=Bm
どこへ 海へ 木々の 奥の
風に 触れた 指が すこし
透きと お る          


どこへ 海へ 晴れた 街の
枯れて 落ちた 花が そこで
ひなた ぼ こ     


どこへ 海へ 夜の 本の
耳を 澄ませば 汽車が 沖を
目指し て る    


どこへ 海へ… 
Am×anytime

 
     
   
Am ×anytime

 
  
 
Am ×anytime

  


Am×anytime

野坂徹夫作『こおろぎ』

野坂徹夫作『こおろぎ』 演出・撮影/及川恒平

 歌のはなし31『この世、花の日』に続いて、
ここでもまず野坂作品『こおろぎ』にふれておきたい。
上の写真も僕の“100円ショップ”装置による照明によりデジカメで撮影したものである。
ただし、この写真もまたCDアルバムには使用しなかった。
 理由は『しずかなまつり』以後の物語を、
僕がこの写真で作ってしまったこともあげられるかと思う。
思い返してみると、ともかく夢中で撮影作業に取り組んでいた僕であった。
 白状すれば、“こおろぎ”を水没させて撮影しようかとも考えたほどなのだ。
これはもちろん野坂さんには内緒というか、コッカ機密に近い。
それほどまいあがっていた。

 今この写真の『こおろぎ』をみると、作品の平面がかなたにひろがり、
やがてうみへたどりつけるような気もするけれど・・・
  曲の構造。
レ(E)―ド(D)―シ(C)―ド(D♯)―と
2小節単位でトップノートが動くほかはBmが延々つづいていく。
そして、これがミソなんだけれど、
たとえば『どこへ』という一言で全部息を使い切るので、音の長さは息のつづくかぎり、
つまりAnytimeというわけだ。
 実際にはすべてのフレーズを限界まで息を使っているわけではないけれど、
そんなつもりで歌いだしているは確かだ。

ムジカーザのライブ録音のとき、立ち会っていたどなたかの感想。
 苦しくて、自分が窒息しそうだったと・・・
この曲に限らず、あの日の“立会人”のかたがたにとってはとんだ災難だっのか。

 あとで聞き返してみると、ウォン氏はピアノなのだから、
物理的にはどこまでもレ―ド―シ―ド― レ―ド―シ―ド―と繰り返せるはずなのに、
ところどころ深くブレスしているような箇所がある。
 彼も息をしながら演奏しているのがわかる。
  歌詞について。
やけに短いけれど、これで曲の長さは8分ほどだから、
各フレーズどれだけひっぱっているか、ピアノだけの部分もかなりあるとはいうものの、
まだ聞いていない方は想像していただきたい。

 歌によっては、歌うたびに自分の描く景色が変わるものも、少なくないけれど、
この歌は毎回、比較的安定している。
 つまり、僕の中では子供のころから見ているけっこうポピュラーな風景なので、
変わりにくいのだろう。
 使う場面としてはおかしいけれど。俳句の方たちの、ウゴカナイとかいう表現が近い。
ぼくにとってはウゴカナイ場面なのだと思う。

 ところで、あなたなら、この歌の中でよんでいる本はなんですか。

                                            2004/3/24記

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