ホワンポゥエルの街の題字


歌のはなし 曲名 公表作品 作詞者 作曲者
012 ホワン・ポウエルの街 キングサーモンのいる島(六文銭)
引き潮(及川)
及川恒平 四角佳子 



capo=5
key=D
または
capo=3
key=C
(前奏) A   A△7    A    A△7    E7   ≒

  A          ≒         ≒
 あなたはしばらく  窓の外を見ていた
  Bm/Bm7    E7      A        F#m 
 はるか      はるか       南の  街で

  A          ≒          ≒
 わたしはきっと    人波の中を歩いてる
  Bm/Bm7    E7      A         F#m 
 はるか       はるか      南の   街で

 A       C#m     Bm 
 あたたかい 雨が      降るという
 A           C#m/C#7
  ホワンポーエルの 街  で
   Bm    A      D/Dm6     A 
 あなたは  深く      息を      ついた

 
(間奏) A   A△7    A    A△7    E7   ≒

  A          ≒             ≒
 あなたは やがて    本の上に目を落とす
  Bm/Bm7    E7      A        F#m 
 はるか      はるか       南の  街で

  A          ≒          ≒
 わたしはきっと    人波の中を歩いてる
  Bm/Bm7    E7      A         F#m 
 はるか       はるか      南の   街で

 A       C#m     Bm 
 あたたかい 雨が      降るという
 A           C#m/C#7
  ホワンポーエルの 街  で
   Bm    A      D/Dm6  rit. A 
 あなたは  深く      息を      ついた
ホテルの室内の写真

 『オーブル街』という歌を知っているだろうか。

 松山猛さんの詞で曲は加藤和彦さんだったと記憶しているけど。
雑誌の付録にこの曲の譜面がたまたま載っていた。
ぼくがまだ学生のころこと。
実際には聴いた事はなく、その譜面で知ったのだった。
気に入って、下宿の部屋でギターでコードをひきながら何度も歌っていた。
ベニヤ板一枚ほどの隣室に気を遣いながら。
 
 森山良子さんの『この広い野原一杯』が流行して
フォークがやや注目されかけていたが、
しかしぼく自身がのちに、まさかそのフォークの世界に入っていくなど、
考えてもみなかったころのことだ。


 『オーブル街』は、地方から上京し下宿ぐらしをする者の心をなぐさめてくれるひとつだった、
というわけだ。
当時愛唱した歌に『風が吹いていたら』『赤い貝殻』などがあるが、
いつのまにか大切にしていたはずの譜面も散逸してしまった。
 今となっては残念としかいいようがない。

 長々とこんな事を書いた訳はこうである。
この『オーブル街』は実は架空の場所であると、しばらくのちに知った。
つまりそのころの、いつか訪れてみたいという望みは、あっさり終止符をうたれたということだ。


 さてさて『ホワン・ポウエルの街』。

 これを録音したのちには、作詞者であるぼくは、予想通りの質問を幾度もうけることになった。
 「この街はどこにありますか」
 「ほんとうにあるのでいすか」

 答えないことにしていたが、やがてこの街は架空のものだと、いつしか結論付けられてしまった。
いやぼくの心の中にちゃんと「実在」したのだ、と抵抗したところでたいした意味もなかった。


 ところでぼくは、地図をながめるのが好きだ。
大学受験も地理を選んだのだし、古地図を集めたりもしたほどだから、好きと言えるだろう。
 その日、とはいってもニ十数年も前のことであるが、
世界地図を広げて、どこかの国をながめていた。

【ホワン・ポウエル】

 ぼくは確かに、その名前を見つけた。
あれは夢ではないはずだ。





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