日々のこと69
DORI と KM−DR
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   わざわざ、報告という程でもないものを書くのは、
気がらくだ、というより気分がいい。
   
 ミクシィの日記も書いたのだが、
僕がふだん演奏に使っているギターは、ガット弦のものだ。  
 石川鷹彦さん監修によるもので、
弦はクラシックだけれど、ネックの太さ、指盤の広さは、
フォークギターに準ずる。
 厳密に言うと、
タカヒコさんが主に使用しているフォーク型ギターと、
ネックだけは、その丸みもほとんどおなじだ。
そのギターもさわらせてもらったから、間違いない。
ごらんのように、胴体はクラシックギターだ。
 このギター「DORI-003」を、手にした3年前から、
ずっと主要ギターとして弾いている。

 実はDORIを手に入れてすぐに、ひびが入った。
携帯電話が、ギターの裏板めがけて飛び込んだ。
僕にはそう見えたが、僕が落としたのだろう。
それを修理する機会のないまま、
去年の暮れまで使いつづけた。
なんせステージ演奏は、
このDORI一本にしぼっていたから、
修理に出すことができなかったのだ。
  タカヒコさん宅で、これおもしろいだろ?
と、彼に手わたされたギターがあった。
DORIだった。
いや、それがDORIと寸分たがわぬフォークギターだと、
さわるまで気がつかなかった。
 
 しばらく貸してもらった。
理由は、あからさまに言えば、
このフォークギターを借りている間に、
DORIについている不要なアナボコを塞いでもらうこと。
 この作戦はうまくいった。
一ヶ月ほどの修理期間中、
僕はこのDORI型フォークギターを使って、
ステージに立った。
 指盤が、まるでおなじ状態だから、
弦のタッチだけを気にすればよかった。
実は、ガット弦とテツ弦を、
うまく弾きわけられなかったが、
それは、ここのテーマとはちがって、
たんなる反省文になるので、割愛。

 そして、昨春。
タカヒコさんのリサイタルに声をかけてもらった。
遠いむかし、六文銭に参加するようになったとき、
たった一回、どこかの会場で、
タカヒコさんと小室さんのギター伴奏で、
「雨が空から降れば」をうたったことがある。

 昨春のタカヒコ・コンサートも、
「雨が空から降れば」を、彼のギターとコーラスで歌った。
このときの気分は、これまた別に報告する価値があるけれど、
いつかの機会に。
 ギター自身が歌いつつ、歌手を空中浮揚させてくれるのを、
味わったからだ。
  そして、この会場で、
DORIとDORI型フォークギターの制作者でもある、
松井邦義さんとご子息に会った。
 さっそくぼくがDORI型フォークを借りて使ったこと、
そのカンジが忘れられないこと、など伝えた。
 彼の返事はひとつ。
「作ります、待っててください」
「えっ、はい」
 
 一月下旬、取り次ぎ店メディアカームの酒井さんから。
ギター完成、のメールがあった。
北海道から帰ってすぐ、
ぼくは神田にあるその店に向かった。
 松井さんに作るといってもらってから10ヶ月目。
ついにゴタイメン。
 目の前につや消しのアランフェス・ケースが有った。
中から出てきたのは、どうしてもDORIにしか見えないギター。

「2008 KM-DR」通し番号なし。

 いい音。
僕がフォークギターにもとめていた音色だと思った。
ふつうにフォークギターに求められる音色とは、
すこし違うのかもしれない。
 だって、
クラシックの音色もまじっているようなんだから。
いや、誤解もある。
だれがって、ぼく自身がだ。
 後日、コムロさんに弾いてもらったら、
最上級のほめ言葉だったが、
クラシックの音がまざっているとは、言わなかったな。
 しかし、ずっとDORIの音になじんできたから、
DORIの音イコール、クラシックの音なのだ。
だから、ぼくの解説には誤解+無理がある。

 今、気に入っているのは、
指弾きでストロークしたときの、
やわらかで、バランスのいい音色。

 ツイシン
「松井さん、すごいギターです。
ありがとう」
参考
http://www.asahi-net.or.jp/~rr5k-oikw/ph-dori.htm

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