日々のこと 55
デジカメnikki vol.6
ぶつどり編
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たとえば広告用の電気製品を写真にとることを業界用語では「ぶつどり」という。
と、したり顔で述べたりするのは危険だ。
もしかしたらすでに日常語かもしれない。自信ない・・・。
で、ともかく今回は「ぶつどり」したのである。
 左にある写真を見て、ほんとうの虫ではないと判った方。あなたは、振りこめ詐欺には出会わないタイプだ。(今日もはずみでものを言っています)。そして、これが釣り用のはりだと了解した方。あなたの趣味は、もしくは職業は、釣師である。さらに、よくできているなあと評価できた方。あなたは自分でも、このような“毛鉤”を作っている。
 イセ氏は、このわずか十数ミリの物体を作るために日々工作室に閉じこもることを喜びとしいる。そして、実際にも、フライフィッシングの名手である。彼の工作室には、このような作品が、数百は引き出しに眠っているし、独創的な工作機械も備え付けられている。
 よもや、この人がフォークシンガー伊勢正三と同一人物だとは思えない。目の前でうれしそうに僕に解説しているホンモノの彼を見ていても、まだ信じにくかった。
 つい最近も、釣の専門誌の巻頭をかざるページに登場しているのだから、彼のフライフィッシングを、芸能人の趣味、トカでかたづけるのは、ちょいと乱暴な気がする。フォーク界に帰ってきてくれて、ほんとーによかった。
 いささか古いのだが、いつかの僕のコンサートのおり、差しいれていただいた酒である。つまり、僕の名前なのである。拡大すると判るけれど、大吟醸生原酒なんである。それがどうした、という方、確かにそれがどの程度の品質を意味しているのか、僕は実は知らない。だけど「大」と、それほど前後の脈絡もなく出てくる場合、たいていスゴインダゾ、を意味している。
 これをくれた方は、テニスの仲間というか、年は下でも先輩で、全日本ベテラン選手権で、軽く優勝しちゃったりする女性である。この人は強い。なにがって、お酒もだ。こんな人にもらったお酒をのんだからと言って、テニスが強くなるとは限らないのは変だ。

 四半世紀以上も前の話だが、渋谷の映画館で「燃えよドラゴン」を見て出て来たあと、自分とブルース・リーが重なって、肩をいからせて歩いているのを、町の不良に見咎められ、そのインネンにまともに反応して、叩きのめされた音楽屋を僕は知っている。
 CDアルバム「みどりの蝉」のレコーディングで使ったギターである。写真ではわかりにくいけれど、胴体は4,5センチほどの厚さしかない。つまり、空洞のない一枚の板でできている。ようするに、クラシック弦の電気ギターである。その録音で使用して以来、レコーディングでもライブでも使われることがなかった。「みどりの蝉」を聞いてくれた方は、わかっていただけると思うけれど、そんなに悪い音ではない。もしかしたら、電気ギターであることを知らずに聞いていたひともいたりして。
 電気ものの宿命で通電が悪くなり、ガリがひどかったのを、やっと修理した。そのさい持ち込んだ某ゆうめい楽器店の若い店員には、このギターがどこのメーカーのものかわからなかった。自慢じゃないが、僕ははじめっから知らない。ヘッド部分を拡大して見ると、アヤシイ飾り文字がある。


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 この一枚の古びた紙は高田渡の書いたものだ。
私文書といえばいえるので、躊躇はしたけれど、結局ここに貼りつけた。1995年4月13日、吉祥寺の伊勢屋で、僕のテニスの仲間に手渡されたものだ。そのころ高田渡は、いそがしくなかったと思う。いや、むしろけっこう暇だったのではないか。そして、僕といえば、フォーク歌手として、ひまというか、なんにもシゴトなんぞしていなかった。
 伊勢屋でその日、呑んでいるうちに話をかわすようになったよっぱらい同志が、おっ、共通の知人がいる、ということになり、高田渡が、オイカワはまだ、どこかでぶらぶらしているらしいと、こんなかみっきれをくれたのだろう。
 
 1971、2年のある日、僕は高田渡と京都イノダコーヒ店で待ち合わせた。彼はとうとう来なかった。後日出会ったとき、彼は「オイカワくん、来なかったね」と言った。僕は綺麗なカウンターのあるほうが、本店だとばかり思っていた。その店から角を曲がったところに、もうちょっと古びた喫茶店があり、それが本店だったのだ。高田渡とは、すれ違ってばかりいた。
 冥福を祈る。

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