おやすみなさい

歌のはなし 曲名 公表作品 作詞者 作曲者
077 おやすみなさい 名前の無い君の部屋
及川恒平 及川恒平
歌のはなし表紙へ 索引へ ホームへ
 E  F#m B7 C#m  
 E  F#m B7  E   ≒ 

E              F#m      A            B7
階段を上り詰めた所にある     扉はもう開かれていて   

E              F#m   A          E
息を切らした僕を見て君は   笑いなが迎えてくれた

  F#m          G#m   A  / B7       E 
どうぞって手を差し伸べて    どうぞ  どうぞ どうぞ


E              F#m    A            B7
風呂上りの髪を束ねた君は   目の前に座ると言った

E             F#m   A               E
煙草もあるしお酒もあるし  お好みのレコートもご遠慮なくね

 F#m   G#m   A /Adim    E 
何を話そうか   何を  何を   何を     


E            F#m  A           B7
話す言葉も見つからず   僕は随分酔払っちまって

E                 F#m    A            E
『おなかが空いた』ってかってな事を  君に言ったらすぐ立って

F#m      G#m    A / B7    E 
何にしましょうか    何に  何に  何に    


E          F#m   A           B7
君も随分酔っちまって  ウフフウフフと楽しそう

E           F#m  A            E
何だか歌でも歌いたい  何だかすぐにも眠りたい

  F#m    G#m   A / B7   E 
夜が更けて行く    夜が  夜が 夜が    

E    F#m     A     B7
E     F#m     (rit.) A/Adim   E


 
 今思うと、この歌を書いたとき、まるで予想だにしなかったことがある。
よく、文章は流行語から腐っていくといわれるけれど、
それがまさか“レコード”という単語がそうなるなんて。
だからレコードはこの場合レコードなんです。
もちろん塩化ビニールでできたやつ。
カセットテープもそろそろ出回っていたけど、
それと、レコード盤は、棲み分けができるものと思っていた。

 それにしてもまさか、こんなありふれた情景が、
危機に瀕しているというのは、想像もつかなかった。
以下。

 まず、階段。
だってエレベーターでしょ、今じゃこの場合。
百歩ゆずって(ゆずってもらって)、階段をのぼったとする。
しかし、その階段の目の前の扉が、すでに開かれているのはあまりに不用心だ。
その上、トビラという言い方はなんだと思うだろう。

弁解を試みたい。
すくなくともスチール製ではないと言うことだ。
そうして、呼び鈴などもついていない。
し、しまった、ドアホーンのことを、かってそう言ったのだよ。
ドアホーンじゃなくて、チャイム?
だからドウシタ・・・・。


 え、何?
風呂上がりの髪は束ねちゃだめだって?
おぐしによくない・・・カビが発生することもある・・・。
あのね、長い髪をほどくということは、色っぽすぎるわけ。
それじゃあ、ちょっと過激すぎるの。
考えすぎですか・・・。
あ、おぐし、という言い方については、僕が挑戦的になっていると思ってクレ。
 
 煙草ね。
そのころね、煙草と酒は、完全なパートナーだったの。
どちらかが欠けるということは、ありえなかったの。
 銘柄としては、ハイライトね。
セブンスターはちょい軟弱で、両切りのショートピースは背伸びしすぎ。
これが、ピー缶が似合うレベルになるまでには、
相当の経験とさいのーが必要だったの。
 酒は、こういうシチュエーションでは、清酒じゃないな。
まあ、ビールはゆるしてもいいな。
しかし、やっぱりウィスキーだろうね。
それがバーボン系だと、いちばんぴったりね。
あ、ワインですか。
それはない。
あれは、オンナコドモののみものというのが通り相場だったからね。
一部じょーりゅーかいきゅーの他はね

 次いきましょ。
 
 おなかがすいたって、言うことね。
だからって、突然コンビニに飛んでいくとかはないの。
コンビニが現れたのは、それよりずっとあとだし、
だいいち、かのじょが作るからいいんでしょ?
と、発言しつつ、実はたいへんな問題がある。
この歌が書かれたのより、やや前に、

私作るひと、僕食べるひと、

となどというコマーシャルが社会的な問題になってね。
 セクハラだなんだと、騒ぎがおきたのね。
もっともセクハラなんて、だいぶ後の言葉だし、
そして、すーぐに腐ってしまうんだけど、。
 くさっているよりは、ましな程度でも、コンビニじゃなくて、
じょのか、が作ったものの方が、いいなあ。
ジョ、ジョノカですか・・・。

 あのね、この逆さま言葉について、ふれるとやたらに長くなるんでね、
この場は見逃してね、いずれ書くから。

 
  歌をうたいたい、つてところも、ちょっと解説がいるのね。
たとえば、レコードを聴くというのも、一枚を何度も聴くなんてしないの。
なぜだと思う?
それはね、盤が減っちゃうからなんだよ。
すーぐ傷が付いちゃうわけ。
だから、一度聴くのもイノチガケだったの。
それが、二度も三度もなんて、
それこそいのちがいくつあってもタラナイでしょ。
 だから、一度聴いたらね、だいたいおぼえるのさ。
つまり、聴いた歌を、今度はそらで、歌うのさ。

 頭の中ではさっき聴いた『青春の光りと影』の、
あのギターサウンドをよみがえらせつつ、
一緒に歌ったりするんだよ、二人で。
かのじょのうちだからね、多分ギターは無い。
どういう訳か、ギターは男の持ち物だったのね。
しかしなぜだろ?今思うに。

 これが、自分の部屋だったら、とっくいになって弾くんだよね、
たいていのケースは。
まあ、コードなんて3つ在れば充分なんだからさ。
それがFをおさえられたりしたら、Cの曲そつぎょうして、
もーうFの曲狙って弾くよね。
でもね、現実は、そんなに甘くないのね。
Fは、押さえられたとする。
ところがね、このキーの曲には、B♭という怪物がすんでいるの。
どうしたと、思う?
手段はあったんだ。
それはね、B♭の形で弦をおさえるでしょ。
だから、か・た・ち・ね。
そして、実は6弦ともミュート状態にするんだよ。
大声で歌っていれば、ギターは聞こえないしね。

そうやって夜はふけていったのでした。


歌のはなし表紙へ 索引へ ホームへ


Copyright©2001-2003 Kouhei Oikawa(kohe@music.email.ne.jp)