長い歌

歌のはなし 曲名 公表作品 作詞者 作曲者
057 長い歌 LP・六文銭メモリアル
及川恒平 原茂
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イントロ
   U:   FΔ    C   :U 

FΔ     C      FΔ    D      
長い 季節が   不意に 去って
G      FΔ    C    FΔ      D      G 
もう 暫らくは 一人で  歩いて    いよう                  


FΔ    C      FΔ      D      
熱い  心で   過ごした   日々も
G      FΔ    C    FΔ      D     G
ん…… 僕の 人生の  たった  ひとこま                


FΔ     C       FΔ     D   
ここで  君と     巡り   会って
G      FΔ    C    FΔ     D     G
ん……仮初の 過去を 忘れる   だけさ    

             
FΔ    C      FΔ     D    
夢の  公園    回転  木馬が
G      FΔ    C    FΔ     D     G
ん…… 回り  続ける  二人を  のせて 


 U:   FΔ    C   :U ×anytime
ん……

 原茂のソロアルバムが再販された。
僕が書いたものは一曲「私の家」が収録されている。

 ここでとりあげる「長い歌」は、「私の家」に先立ってかかれたものである。
たぶん、僕が劇中歌を流用せずに、
六文銭のステージのために書いた最初の曲だったと記憶している。
いや、待てよ。
「まわる」という、わけのわからん歌が先だったかも知れないなあ。
それとも「まわる」は詞曲とも原だったかなあ。
ともかく、原茂と書き出した方が、小室等と書くより先だったとは思う。

 「長い歌」を書いたのは、
時期的には小室と「出発の歌」を書くことになる1971年夏より前、
その年の春以前、もしかしたら前年だろうか。
レコード盤として収録されたのは「私の家」が先で、「キングサーモンのいる島」に入り、
「長い歌」は「六文銭メモリアル」に就職先が、のちに決まった。
  この曲の構成は実にたくみである。
10小節でワンコーラスであるが、
コード進行は5小節ずつ正確に繰り返されているだけである。
 ところが、歌つまりメロディは、4小節+4小節+2小節と構成されている。

 コードが5小節単位だから、ずれが生じているわけだ。
しかし、歌ってみるとこのずれはただものではないということに、気がつく。
みょうに気持ちがいいのだ。
みょうに、などと思って歌いつづけると、随分となり、やがてはまる。
 根がシンプルな歌だから、
実際歌ってみて、呪文のようなループ感覚に僕はとらわれた。

 こんなワザを当時原茂は、きっと無意識に使ったに違いないのだが、
どう考えてもスゴイ。
そして「私の家」が醸し出す開放感とはちがった、湿度がここにはある。
ただし、やはり彼の感性は同じ湿度といっても、
日本の梅雨、とはだいぶ異なっている。
 この歌は原茂の作品としては、「私の家」ほどの評価を受けなかったけれど、
僕としては、この曲に肩入れしたい。
 先日(2004/10/23)、横浜イギリス館で『まるで六文銭のように』の、
何回目かのコンサートをした。
 当日は『猫』の常富くんにもゲストで歌ってもらったが、
『まるろく』のほうは、僕ら三人+こむろゆい、細川圭一の五人だった。
僕自身は、楽しめたライブだったし、音楽的にも刺激を受けた。
その中で印象に残ったことがある。

 小室、マイクの前で曰く。
「『まるで六文銭のように』って、
名前として長いの長くないのとの話もあったけれど、結構いい名前だよね」
リーダーとしては、そして六文銭創始者としては、考えることがあったのだろう。
 ところで、その言葉を聴いていて僕なりに、ピンとくるものがあった。
多分、23日当日喋ったと思うのだけれど、単に心中での発言だったような気もする。
それは、こういうこと。

 僕にとっては、
1969年からこのグループ解散時の72年まで在籍した「六文銭」は、
参加した当初から「まるで六文銭のように」だったことに気がついたのだ。
開店休業状態だった「六文銭」をやりたいと小室をけしかけたのは僕だ。
 ちなみに再結成の1969年から解散まで在籍したのは、
リーダーの小室と僕だけだ。
そして原茂は解散時のメンバーだ。

 小室にも手ごたえはあったからこそのスタートだったのは当然として、
僕の中には小室等や入川捷、石川鷹彦などの六文銭が、
すでにイメージされていた。
 だから、小室に申し出たときは、
そう、つまり「まるで六文銭のように」歌いたかったのだ。

 今回のイギリス館の五人のユニットも悪くない。
参考⇒『オレンジ色の朝』原茂

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